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- 2006.07.03
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- 2006.06.30
- よくある質問
夏休みも近くなり、最近外来で「妊娠中に旅行に行っていいですか?」とよく質問されます。今日はそんな時にいつもお答えしていることを書きたいと思います。
旅行は妊娠だけのことを考えれば、飛行機などの過密状態でSARS(重症急性呼吸器症候群)に限らず種々のウイルスに感染したり、移動中に事故に巻き込まれる可能性もあり、妊娠中は避けた方が無難ということになります。しかし時期さえ選べば、妊娠中でも旅行を楽しんでいただくことは不可能ではありません。たとえば妊娠初期や末期には勧められませんが、いわゆる安定期(妊娠20週~)に入ってから妊娠31週くらいまでは、海外も含めて比較的安全にご旅行いただけると思います。
もちろん旅行に行かれる場合は、無理なプランやご馳走の食べすぎなどを慎み、飛行機などを利用される場合は手洗い・うがいの励行、そして長時間移動の場合は足を動かすなどして深部静脈血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)などの予防を心がける必要があります。また念のため、母子手帳も持参下さい。海外旅行の場合は、万一に備えた英文の紹介状も作成できますのでご相談下さい。また車で移動される場合は、くれぐれも交通事故には気をつけて、余裕を持ったスケジュールを組まれることをお勧めします。
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- 2006.06.21
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- 2006.06.15
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最近メールで複数の方から、「不妊治療に通っていて通常の治療ではなかなか結果が出ない。そろそろステップアップを考えるが、夫があまり協力的ではない。どうすればよいか?」とのご質問をいただきました。ご主人が躊躇われる理由はそれぞれですが、人口受精や体外受精のような人工的な操作が加わることに抵抗があったり、精液検査などのために奥様と一緒に産婦人科に通うのは抵抗がある、などのようです。
確かに赤ちゃんがいないことが、何らお二人の関係や、奥様の女性らしさを損なうわけではありません。「自然にまかせるのが一番、だめならそれでもよい」というのも一つの考え方だと思います。
ただここで知っておいて頂きたいのは、最先端の不妊治療であっても、戻された胚が子宮に宿って赤ちゃんになっていくほとんどの過程は、自然の妊娠と変わらないということです。精子が少ないときなどに行う顕微授精(ICSI)にしても、極細のガラスチューブを用いて精子を卵子に注入する操作は高度の熟練を要して確かに人工的ですが、受精卵が細胞分裂して胚になっていくのは受精卵自体の力によるものです。さらに子宮内にもどされた胚が子宮内膜に着床して胎児となっていく過程は、全く自然に起こる妊娠と同じです。過去に使われた「試験管ベビー」という言葉は、全く実態に即さないものです。
もしご主人も強く赤ちゃんを望まれているのなら、やはり奥様と同時にご主人に対する検査も進めていくのが効率的です。それには男性にとって抵抗が多い精液検査なども含まれますが、事前にご予約いただけば自宅で採取した精液で検査を行うことも可能です。もちろんその結果、精子数が少なかったり、運動率が悪かったりしてショックを受けることもあるかもしれませんが、逆にいえば原因がわかれば対策を立てることもできるようになります。
SACRAの不妊外来には多くのご夫婦が一緒に治療に通われています。現在受診をためらわれているご主人様も一人で悩まずに思い切って奥様と一緒に来院いただいて、疑問点を橋本先生に質問されれば、徐々に道が開けることもあるかと思います。
もちろんステップアップだけが結果に結びつくわけではありません。お二人の意見がなかなか合わないなら、いっそしばらく治療を休んでみるのもひとつの方法です。治療のストレスから開放されて、かえってよい結果がでることもあります。
実際はなかなか難しいのですが、意見が合わないときこそお互いの考えに耳を傾けてみることが大事だと思います。
蛇足です。以前にも書きましたが葉酸は妊娠初期から重要な栄養素です。不妊外来に通院中の方々は来るべき妊娠にそなえて、葉酸を多く含む緑黄色野菜の摂取をお願いします。
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- 2006.06.01
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- 2006.05.24
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今日は食べ物のお話です。SACRAでは分娩後のお母様のために、杉田料理長はじめ厨房スタッフが心をこめて作ったお料理をお出ししています。その中で、メインディッシュではないのですが私が特に気にいっているのが、この杉田さん特製の「体にやさしい食育サラダ」です。
ひよこ豆、えんどう豆、いんげん豆などに、ひじき、緑黄色野菜が入っていて色取りだけではなく、お豆の良質な蛋白と、ひじきの鉄分・カルシウム、お野菜のビタミン類をおいしく食べることが出来ます。食育というと何か難しい気がしますが、妊娠中・授乳中のお母様にとっては、食事はご自身の体だけではなく、大切な赤ちゃんの体を作る材料です。栄養バランスを考えながら、いろいろ工夫するとおいしくいただけますよ。
杉田さんによると、簡単なレシピだそうですのでぜひ皆さんも試してみてはいかがでしょうか?
材料
ミックスビーンズ
芽ひじき
トマト(小さめに切ったもの)
みじん切りした玉ねぎ
パプリカ(赤、黄)、アボガドなどいろいろな野菜
SACRAではこれに特性のドレッシングをかけていただきます。ドレッシングは、レモン汁とワインビネガーを混合して塩コショウで味を調え、最後にオリーブオイルを混ぜて作るそうですが、分量は杉田料理長の舌加減だそうです。
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- 2006.05.15
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前回帝王切開や骨盤位など、帝王切開での分娩が予定されている方を除き、妊娠10ヶ月に入ったら、お腹が張ってかまいませんからどんどん動いてください。特に初産婦さんは、長めの散歩やきつめの家事を積極的におこなって、よくお腹が張るようにがんばってください。
これは感覚的にもご理解いただけると思いますが、来るべき分娩の準備状態を整え、陣痛を引き起こす呼び水となるためです。
陣痛・分娩のメカニズムについては比較的よく研究されており、陣痛の発来と子宮頚管(子宮の出口)の熟化と開大が密接に関連して進行することが知られています。またその反応は、ばい菌に対する炎症反応に酷似していて、白血球の浸潤が陣痛の発来と子宮口の開大に大きな役割を果たすことも知られています。私も留学中にこの分野の研究に携わり、分娩準備状態の進行(子宮頚管の熟化)とともに子宮頚管にマクロファージという白血球が増加してくること(Macrophages and not granulocytes are involved in cervical ripening. Sakamoto Y et al. J Reprod Immunol. 2005 Aug;66(2):161-73)、そして陣痛発来後には顆粒球という白血球が劇的に浸潤してくるが、そのメカニズムにはインターロイキン-8という物質を介した一種の連鎖反応が考えられること(Interleukin-8 is involved in cervical dilatation but not in prelabour cervical ripening. Sakamoto Y et al. Clin Exp Immunol. 2004 Oct;138(1):151-7.)を報告しました。しかしこれらの成績からは、陣痛発来の引き金そのものは明らかになりませんでした。
それが最近の研究で、子宮頚管に存在するある種の細胞に物理的な引き伸ばし(進展)刺激が加わると、種々の生理活性物質を産生することが報告されました。それらの中には子宮頚管を熟化させる酵素群や、白血球を呼び込む作用を持つインターロイキンー8も含まれます。妊娠10ヶ月に入ったら赤ちゃんの頭は骨盤内に入ってきますので、よく動いてお腹を張らせることは子宮頚管の熟化を進め、陣痛発来の呼び水となりうることを理論的に裏付ける成績と考えられます。
SACRAでは予定日を超過してもすぐに陣痛促進剤は使用せず、胎児の状況を確認しながら出来るだけ自然の陣痛を待ちます。もし予定日をかなり超過して41週を超えていくことになると、陣痛促進剤の慎重な使用も選択枝となりますが、子宮頚管が柔らかくなって開いておれば、比較的安全に使用することが出来ます。
写真のワンちゃんたちのように、というわけではありませんが、10ヶ月に入ったらよく動いてお腹を張らせることが、安産の極意?だと思ってがんばってください。
もちろんあまり激しい運動はお勧めしません。転んだりしないように注意しながら、散歩や家事中心の運動で結構です。
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- 2006.05.11
- 役に立つ?情報
晩婚化の影響もあり、最近は35歳以上で妊娠・分娩は決して珍しいことではありません。特に初産で35歳以上の方は高齢初産として慎重に管理することになりますが、経産婦さんでも、加齢に伴って妊娠・分娩のリスク(危険)はある程度増加します。
加齢とともに増加する危険としては、妊娠中毒症(妊娠高血圧腎症)発生率の増加、帝王切開率の上昇、分娩時出血量の増加などが挙げられますが、これらの母体合併症は適切な管理(医学的管理だけでなく、ご自身の体重管理や生活態度の管理を含む)によりある程度防ぐことが可能です。しかし、卵細胞の加齢による胎児の異常、具体的にはダウン症などの染色体異常は、年齢とともに徐々に上昇していきます。これは母親の卵細胞が46本の染色体(1個1個の細胞に含まれる遺伝情報の設計図)から、父親の精子由来の23本の染色体と合わさって46本になるために、半数の23本に減数分裂する際に生じたトラブルを原因とするものです。生じたトラブルが高度なら受精・着床に至らなかったり、妊娠初期に流産になると考えられますが、ダウン症のように21番目の染色体が1本多いものの胚の発生には大きな問題がない場合には、そのまま発生が続いて胎児となって行きます。ただしその発症率は、ダウン症を例にとれば35歳で1 / 270(0.3%)、40歳で 1 / 100(1%)と、20歳の1 / 1000(0.1%)に比べれば高いものの、決して高い数字ではありません。
この胎児の染色体異常については、技術的には出生前診断が可能です。これは羊水検査といって胎児のまわりの羊水を針を用いて採取し、そこに含まれる胎児細胞の染色体を分析する方法です。ただしこの検査には流産の危険があります。一般的に流産の可能性は0.3%程度とされますので、上述のダウン症の発生頻度を考えると、少なくとも35歳未満の方には流産の危険の方が大きいため行うべきではないということになります。
羊水検査以外の出生前検査としては、母体の血液検査により胎児の染色体異常を含めた異常を推定する方法(トリプルマーカー検査)がありますが、正確性が低いためかえって臨床現場に混乱を招いた歴史があり、現在はあまり行われていません。
何れにしてもこれらの検査は、胎児の選別につながりかねないという倫理的に大きな問題を含んでいます。また、赤ちゃんの異常は染色体異常を伴わないものも多いため、出生前検査の結果が正常でも、赤ちゃんが100%正常であるとは言い切れないという問題もあります。
いっそこのような検査が無ければとも思いますが、やはり35歳以上の妊婦さんは、出生前検査を受けるにしろ受けられないにしろ、その意味を十分理解された上で主体的に判断されることが望ましいと考えています。
SACRAでは、以前にこのブログに記しましたように超音波により胎児の形態的な異常の有無について詳細に評価しています(http://blog.livedoor.jp/sacra_lc/archives/50193218.html)。しかし上述の胎児染色体の出生前検査は行っていません。ただし、35歳以上の方には出生前診断について説明して、御希望なら施行可能な施設にセカンドオピニオンを目的として紹介することは行っています。
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- 2006.05.10
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初期教室(妊娠5~6ヶ月:16~23週が対象):6/25(日)9:00受付、9:10~10:20
中期教室(妊娠7~8ヶ月:24~31週が対象):6/11(日)9:00受付、9:10~10:20
後期教室(妊娠9ヶ月以後:32週以後が対象):6/10(土)9:30受付、10:00~11:30
いずれも場所は橿原文化会館3F会議室(八木駅徒歩3分、近鉄百貨店隣)です。
初期ならびに中期教室は、申し込み多数の場合は第2部をとり行う可能性がありますので、後期と時間が異なることに注意下さい。
詳細のお問い合わせは、担当宮本までお願いします。また事前に、直接あるいはお電話でご予約いただきますようお願い申し上げます
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- 2006.04.24
- 役に立つ?情報
4/22-23にかけて横浜で行われている日本産科婦人科学会総会・学術講演会に出席してきました。
日本産婦人科学会は日本のほとんどの産婦人科医が所属する学会で、毎年4月に開かれる学術講演会では、各大学などの先進医療機関から最新の医学的知見が発表されます。学会二日目の日曜日には毎年、テーマを決めたシンポジウムが行われ、今年は「妊娠中の栄養・代謝―妊娠中の適切な栄養管理を目指して」と、「多のう胞性卵巣(PCO)の病態生理と臨床」がテーマでした。
私は「妊娠中の栄養・代謝」のシンポジウムを聴くことができましたが、葉酸の摂取不足の問題、出生児体重の低下が児の長期予後にもたらす問題などについての討論が行われました。
妊娠中の過度な栄養制限と体重制限の問題については過去にも記しました(http://blog.livedoor.jp/sacra_lc/archives/50160771.html)。それ以外には新聞でも報道されましたが、妊婦の葉酸摂取が厚生省の推奨量を満たしていないこと、そしてそれはサプリメントの服用により改善されることが取り上げられていました。血中葉酸濃度の低下は2分脊椎などの胎児の神経管の閉鎖障害(Neural Tube defect: NTD)に関わることが報告されています。以前は日本人の野菜摂取は多いために、欧米に比してNTDは少ないと考えられていましたが、近年NTDは欧米では減少傾向にあるにもかかわらず、日本では増加傾向にあることも知られています。また葉酸代謝に関わる酵素のある遺伝子多形をもたれている方(MTHFR 677 TT:日本人では約18%の方がそうです)では、血中葉酸濃度が低い傾向があることも知られています。
現在妊娠を目指して治療中の方、すでに妊娠が成立して私の外来にこられれている方は、葉酸ともにビタミンB群を多く含む緑黄色野菜(ジュースを含む)の十分な摂取を心がけてください。また鉄分とカルシウムも不足がちになりますのでそれらも含めてバランスのとれた食事をお願いします。
場合によってはサプリメントの使用も有用です。ただしサプリメントに頼って食事がおろそかになるようなら本末転倒です。基本的には各種栄養素はバランスのとれた食事から摂取すべきであることも理解しておいてください。