SACRAブログ

たばこは百害あって一利なし

2006.04.13役に立つ?情報

183226b4.jpg今日のニュースで、「たばこをお吸いになる方は心筋梗塞などの心臓病の発症率が約三倍になることが厚生省班研究による大規模な疫学調査によって明らかになった」と報道されていました(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060411-00000063-mai-soci)。

以前からタバコと心臓病の関係は指摘されていましたが、これは全国の40~59歳の男女計約41,000人を対象として、1990~2001年にかけて平均11年間追跡して得られた結果です。この研究は、専門的にはプロスペクティブ・スタディー(prospective study:前方視的研究)と呼ばれる、研究者によるバイアス(主観による結果への影響)が生じにくい研究手法が取られており、参加人数も多いため非常に正確な成績であると考えられます。さらにこの研究によれば、男性の場合禁煙して2年たてばもともと吸わない人と心臓病の発症率は変わらなかったそうです。

妊娠中の母体の喫煙は、流・早産や出生児の体重の減少と関連することが報告されています。また最近は妊娠中の受動喫煙(自分が吸わなくても同室で他人が吸ったたばこの煙を吸い込むこと)の影響を報告する研究結果もあります。そして出生後の赤ちゃんの突然死(乳幼児突然死症候群:SIDS)は、喫煙者の家族に多いことが報告されています。

もしたばこを吸われている方がいらっしゃれば、ご主人様を含めて早急に禁煙されることを強くお勧めします。 本文とやや逆説的にはなりますが、インターネットの普及により、上記のような大規模な学術研究の成績以外にも、未だはっきりとは白黒がついていない段階の研究成果も広く紹介されるようになりました。しかし実際の医学研究の現場では、むしろはっきりしていることの方が少なく、ある仮説に関しての研究結果が互いに矛盾して未だ確定していないことの方が多いです。本文で述べたような大規模な前方視的研究の結果であれば正確性は高いですが、患者カルテや採血検体を後から分析したような後方視的研究の結果は、たとえそれが英文学術誌に掲載されたものでも必ずしも正しいとは限りません。

特に妊娠中・分娩後はいろいろと不安になる時期です。インターネットの断片的な情報をそのまま信じ込むのは危険であることも認識しておいてください。

お知らせ一覧へ

    月別アーカイブ